CASES
導入事例
  • ホーム
  • >
  • 導入事例
  • >
  • DP操船時の燃費を20%改善するKongsbergのハイブリッドソリューション

海運業界は、より環境に優しい航路へと舵を切っています。グローバルオフショア支援船市場の主要企業の一つであるSEACORマリン社(本社 米国)は、その最前線に立っています。同社は現在、プラットフォーム供給船(PSV)船隊のハイブリッド化を推進しており、Kongsberg Maritimeとの革新的なパートナーシップが、シンプルなアップグレードで、大きな環境メリットをもたらしました。

km insights july 2024 lr p15 0001a
SEACORマリン 最先端のハイブリッド技術で未来へ投資

バッテリーに加え、今回のアップグレードでは、ハイブリッドシステムの陸電接続機能も搭載されます

オフショア海上輸送のリーディングカンパニーであるSEACOR マリンは、Kongsberg Maritimeの最先端ハイブリッドエネルギー貯蔵システムを導入し、複数のPSVをアップグレードすることで、未来への投資を進めています。

この戦略的な取り組みにより、SEACOR マリンは持続可能性分野でのリーダーシップを確立すると同時に、重要な業務において大幅なコスト削減と安全性の向上を実現します。今回の契約に含まれるのは同社船隊の4隻で、設置工事は2024年12月に開始され、2025年第2四半期までに完了する予定です。このアップグレードにより、 SEACORマリンのPSV船隊の半分以上がハイブリッド推進船となります。

アップグレード対象となる4隻のPSVは、すべてKongsberg MaritimeのUT 771 CDL設計の船舶であり、コンテナ化されたデッキハウス エネルギー貯蔵システム(ESS デッキハウス)と関連する配電盤およびスラスター制御システムを搭載し、バッテリーハイブリッド運航を実現します。

このアップグレードには、4隻すべての現行システムに代わる新しいKongsberg Maritime K-Pos ダイナミック ポジショニング(DP)システムのインストールも含まれます。これらのアップグレードは、2024年の初頭にデッキハウスシステムを備えた船、SEACOR・Yangtzeで完工した同様のアップグレードに続くものです。

「ハイブリッド船隊の拡充は、SEACORマリンの中核的な価値観である革新性と環境保全の理念に合致しています」と、SEACOR マリンのCEO、ジョン・ゲラート氏は語ります。

Kongsberg Maritime のエネルギー貯蔵システムは、既存の船内発電システムとシームレスに統合されるため、特にDP操船時に燃料消費を大幅に削減できます。Kongsberg Maritime のアフターマーケット販売担当の上級副社長、ジェームス・ポウルトン氏は、次のように語っています。

「SEACOR マリンは、オフショア市場におけるハイブリッドバッテリー電源システムの最も経験豊富なオペレーター企業の1 つであり、今回も私たちの技術を採用し、ハイブリッドPSV船隊をさらに拡大されることを大変嬉しく思います。」、

「バッテリー電源を導入することで、DP操船時の燃料消費を最大20%削減することができます。また、バッテリーに加えて、港湾停泊時に陸上電力網へ接続できるショアコネクション(陸電接続)機能も搭載されます。これにより、エンジン稼働時間を大幅に削減し、ディーゼル燃料の排出ガスを低減できます。バッテリー電源が即時利用できることの大きな利点は、必要な冗長性を確保しながらも、最小限のエンジン稼働で船舶の電力システムを維持できる点です。これは特にDP操船時に有効ですが、他の運航モードでも大きな価値を発揮します。」

環境への影響は明白です。温室効果ガスの排出量と汚染物質が大幅に減少し、クリーンな大気と地球環境へ貢献します。

DP運用の安全性向上

環境面でのメリットに加え、Kongsberg Maritimeのバッテリーシステムにはもう一つ重要な利点があります。それは、重要なオフショア業務における冗長性(バックアップ機能)の向上です。バッテリーシステムは、エンジン故障時に重要なバックアップ電源として機能し、DP操船中の業務を中断させることなく継続できるようにします。

SEACORマリンのエンジニアリング・マネージャーであるマイク・コワルスキー氏は、次のように説明します。「ハイブリッドシステムの電力容量を決定する際には、シャットダウン時の冗長性を確保することが常に最優先事項となります。」

「このバッテリーシステムは、スピニングリザーブ(待機電力)として機能し、バックグラウンドで常に待機しています。その上で、稼働中の発電機のピーク負荷をカット(ピークシェービング)するために必要な容量を加味した結果、必ずしも追加のバッテリーを必要としないことが分かりました。私たちは、より少ないバッテリー容量でも、安全なレベルの冗長性を確保できるのです。 ただし、バッテリー容量の決定は、船舶のライドスルー機能(突発的な電力損失を補う機能)に基づいており、発電機が停止する事態に備えています。」

「DP操船中のスラスターの平均負荷に応じて、このシステムは約20分間のライドスルー機能を提供します。これにより、船舶の電力システムが適切に反応し、スタンバイ中の発電機を自動的に起動させるのに十分な時間を確保できます。 Kongsberg Maritimeのシステムでは、運転に一切の支障が生じません。」

環境と経済の両面で魅力的な投資

このグリーン・アップグレードには、経済的なメリットもあります。「この投資は、私たちの理念である“卓越した運航”と一致しています。」と、マイク氏は続けます。「ハイブリッドシステムは排出ガスを削減するだけでなく、燃料コストの大幅な削減にもつながります。これはお客様にとっても非常に重要なポイントです。」

業界をリードするパートナーシップ

Kongsberg MaritimeとSEACOREマリン社のパートナーシップは、海運業界における持続可能な変革を推進する成功事例の一つです。革新的な技術と持続可能性への取り組みを組み合わせることで、両社はよりクリーンで安全、かつ経済的な船舶運航の未来を切り拓いています。

この戦略的なアップグレードにより、 SEACORマリンは持続可能な海運の最前線に立ち、 Kongsberg Maritimeはエネルギー効率の高いソリューションを提供するリーディングプロバイダとしての地位をさらに確立しています。

navigating a sustainable future

記事原文:

Going green and strong